【目次】
実家を処分する流れについて知りたいと悩んでいませんか?
この記事では「実家を処分する流れ」について紹介します。
他にも「実家を処分するための準備」や「実家の処分で後悔しないための注意点」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、実家を処分する流れを把握してみてください。
実家を処分する流れ
実家を処分するには、処分するプロセスをしっかり理解することが重要です。
実際に、実家の処分には、必要な書類の準備や不動産会社との連絡など、思った以上に多くの手間や時間がかかってしまうので、事前に全体の流れや必要な期間を把握しておくことが重要です。
具体的に、実家を処分する流れについては、以下が挙げられます。
遺言書の確認
遺産分割
実家の名義変更
遺品整理
実家の査定依頼
不動産と仲介契約
買主と売買契約
引き渡し
それぞれの流れについて解説していきます。
遺言書の確認
被相続人が亡くなった際には、まずは遺言書の存在を確認することが重要です。
遺言書がある場合は、その内容に従って相続がおこなわれます。
しかし、2020年7月以降に法務局で保管されている自筆証書遺言以外の遺言書は、家庭裁判所の検認が必要になり、検認手続きは時間がかかるため、なるべく早くおこなうようにしましょう。
遺言書がない場合については、、相続人同士で遺産分割協議を開き、実家の相続人を決定します。
また、遺産分割協議は、遺言書があっても相続人全員が協議することに同意すれば、おこなうことが可能です。
このように、家の処分をおこなう際には、まず遺言書の確認をしましょう。
遺産分割
遺言書が存在しない場合、相続財産の分配方法は、遺産分割協議を通じて決定する必要があります。
複数の相続人がいるケースだと、遺産分割協議書を作成する必要があります。
遺産分割協議書は、相続人全員が遺産の分配について合意した内容を文書化したもので、特定の用紙を使用する必要はなく自由な形式で作成できます。
しかし、誰がどの財産を取得するのかを明記し、全相続人の署名と捺印が必要で、不動産の名義変更や銀行から被相続人の預金を引き出す際に提出を求められることもあります。
実家の名義変更
不動産を相続した際に、必ずおこなわなければならない手続きの一つとして、名義変更があげられます。
名義変更の手続きは、対象となる不動産の所在地を管轄する法務局でおこない、名義変更をしなければ、相続した家を売却することができません。
また、2024年4月から新しい規則が施行され、相続によって不動産を取得した相続人は、「その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する」義務が課せられています。
このように、実家の処分を希望する場合、名義変更をしなければ処分はできないので、実家の名義変更は必ずおこなうようにしましょう。
遺品整理
実家を処分する際には、基本的に家の中を全て片付ける必要があるので、名義変更の手続きと同時に、遺品の整理や家財の処分を進めましょう。
家に残された物は、必要な物と不要な物に分け、不要な物は処分するのをおすすめします。
また、家の解体を依頼する場合、家の中に家電や家具が残っていると費用が増えてしまうので、できるだけ自分で片付けておくことをおすすめします。
さらに、親族や兄弟が遠くに住んでいる場合は、誰が片付けを主導するのか、何を保存し、何を処分するのかを事前に話し合って決めておくことでトラブルを未然に防ぐことにもつながります。
実家の査定依頼
実家を処分する準備が整ったら、次に査定を依頼して売却活動を始める必要があります。
具体的に、査定には以下2種類があります。
査定の種類 | 内容 |
机上査定 | 実家の基本的な情報を基に大まかな査定価格を算出する方法で、手軽に利用することが可能です。 |
訪問査定 | 不動産会社の担当者が実際に現地を訪れて詳細な情報を確認し、正確な査定価格を算出することができます。 |
上記の査定方法を決める際に、どの不動産会社に依頼するかを決めておくと時間の節約になります。
また、査定を依頼する際は、複数社からの査定結果を比較することで、価格の相場や適正な売却価格を見極めることができるので、複数の不動産会社に連絡を取ることをおすすめします。
不動産と媒介契約
査定額に同意したら、不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約とは、不動産会社が売主に代わって物件情報の公開や売買契約の手続きをおこなうことを約束する契約で、不動産会社は売却活動を全面的にサポートを受けることができます。
具体的に、媒介契約には、以下3種類があります。
媒介契約の種類 | 内容 |
専属専任媒介契約 | 売却依頼を1社の不動産会社のみでおこないます。不動産会社は週に一度以上、売主に販売状況を報告する義務があるため、進捗の確認が簡単にできるメリットが挙げられます。しかし、売主が自ら買い手を見つけた場合でも、契約した不動産会社を介して取引をおこなう必要があります。 |
専任媒介契約 | 1社の不動産会社にのみ売却を依頼しますが、専属専任媒介契約との違いは、売主が自分で見つけた買い手と直接契約できるという特徴があります。しかし、専属専任媒介契約に比べると、情報共有の頻度が低くなってしまうデメリットが挙げられます。 |
一般媒介契約 | 複数の不動産会社に売却を依頼できる契約です。売主は自ら見つけた買い手と直接契約することが可能です。しかし、複数の不動産会社と同時にやり取りをおこなうので、調整に手間がかかります。 |
上記のように、それぞれの契約にはメリットとデメリットが存在するので、信頼できる不動産会社や営業担当者と相談し、売却の目的や状況を考慮して最適な契約を選ぶことが重要です。
買主と売買契約
買主が見つかったら、売買契約を締結します。
基本的には売主と買主が直接会って契約をおこないますが、事前に重要事項説明書の説明を受け、売買契約書の内容を確認することができます。
しかし、説明に使用される書類は専門的で難解な場合が多いので、担当者や宅地建物取引士に質問しながら進めることをおすすめします。
このように、契約当日に全てを確認するのは大変なので、事前に書類のコピーを入手して確認することをおすすめします。
引き渡し
買主と売買契約が締結された後、買主は売主に対して売買代金の支払いをおこない、引き渡しをおこないます。
建物の引き渡しと売買代金の支払いは同時に行われることが一般的で、通常は契約締結から1ヶ月以内に完了します。
また、引き渡しと同時に所有権の移転登記手続きもおこなわれ、正式に売買がおこなわれます。
具体的に、引き渡し時に必要な書類については、以下が挙げられます。
本人確認書類
抵当権抹消書類
住民票
土地・建物の登記済権利証
実印
印鑑証明書
確定測量成果品一式
建築確認済書、検査済証などの関連書類一式
鍵
付帯設備の取扱説明書等
必要書類に不備があると代金決済や引き渡しが滞る可能性がありますので、担当の不動産会社と十分に打ち合わせをして手続きをスムーズに進めることが大切です。
さらに、実家を売却して譲渡所得が発生した場合は、翌年の2月16日から3月15日までに住民票のある地域の税務署に確定申告書類を提出する必要があります。
実家を処分するための準備
実家を処分するための準備については、以下があります。
土地の境界を確認する
実家の購入費用を把握する
遺品整理をする
それぞれの項目について解説していきます。
土地の境界を確認する
実家を処分・売却するには、まず土地の境界を正確に確認する必要があります。
実際に、土地の境界を確認せずに処分や売却をしてしまうと、隣地との所有権に関するトラブルを引き起こしてしまう原因になってしまうのも事実です。
特に、長期間測量がおこなわれていない場合は、境界が不明瞭になっていることが多いので注意が必要です。
具体的に確認する際には、確定測量図があれば、土地の境界が明確になっているので、確定測量図が存在するかどうか確認をしましょう。
また、隣接する土地だけでなく、道路との境界も確認が必要になるので、市や県の道路管理担当部署に連絡を取り、境界の確認を依頼しましょう。
万が一、筆界確認書や境界標がない場合は、専門の測量士を依頼して確定測量を実施する必要があります。
実家の購入費用を把握する
実家の購入費用を把握しておくと、税金対策に役立ちます。
具体的には、家を売却した際に利益が発生すると、その利益に対して税金が課せられます。
利益については、以下の式で求められます。
利益=売却価格-(売却費用+購入費用)
基本的に、利益が少ないほど税額も少なくなるので、家を買った時の費用を明確にすることで節税が可能です。
特に古い家の場合は、実家の土地の売買契約書や家の建設契約書などを探してみることをおすすめします。
遺品整理をする
実家に限らず、不動産の処分や売却には基本的に物が何もない状態で行うのが原則になるので、遺品整理をしておきましょう。
万が一、実家に遺品が残されている場合、それを無断で処分することはトラブルの原因になってしまうのも事実です。
遺品整理をする際には、家族と話し合いながら、慎重に整理を進めることが大切です。
不要な遺品については、廃棄処分が必要ですが、ゴミの出し方は地域ごとに異なるので、自治体の規定に従って適切に処分しましょう。
また、遺品整理が困難な場合は、専門の遺品整理業者を利用するのもおすすめです。
実家を処分するタイミング
実家の売却を検討する際、タイミングを見極めることが重要です。
具体的には、市場が好調な時期に売却すれば、遺産分割の際に多くの利益を得ることができます。
逆に、市場が低迷している時期に売却してしまうと、実質的な相続財産が減少するリスクがあるのも事実です。
社会情勢や周辺の土地価格の動向をしっかりと見極め、最適な売却時期を選びましょう。
また、売却価格や遺産総額によって、相続前と相続後のどちらで売却するかが異なります。購入時よりも高値で売却できる場合は相続前の売却が、遺産総額が相続税の基礎控除を超える場合には、相続後の売却がおすすめといえます。
実家の処分で後悔しないための注意点
実家の処分で後悔しないための注意点については、以下があります。
売却にかかる費用を把握する
複数の不動産会社に査定依頼する
不動産会社に丸投げしない
それぞれの注意点について解説していきます。
売却にかかる費用を把握する
売却にかかる費用を把握しておくことで、「売却しても手元にあまり残らなかった」というリスクを避けることにつながります。
具体的に、実家の売却で必要となる費用は以下のとおりです。
司法書士の報酬
仲介手数料
リフォーム費用
仲介手数料は、不動産を仲介して一般の消費者と売買契約を結ぶ際に発生する費用です。
手数料は、売却金額(税抜)の3%に6万円と消費税を加えた金額が上限とされています。
また、上記以外にも税金の支払いも必要になるので、ある程度余裕をみて、売却にかかる費用を準備しておきましょう。
複数の不動産会社に査定依頼する
実家の査定を行う際は、複数の不動産会社に依頼することをおすすめします。
1社だけに査定を依頼すると、その査定が適正な価格かどうか判断しにくくなってしまいます。
万が一、不動産が適正価格より低く評価されれば、本来よりも低い価格で売りに出すことになってしまい、逆に高く評価されすぎると、買い手が見つからず売却が長引く可能性があります。
具体的に、比較する不動産会社の数は、2〜3社が理想的です。
このように、複数の不動産会社に依頼することで、物件の価格や条件を比較しやすくなり、信頼できる不動産会社を見つけやすくなります。
不動産会社に丸投げしない
実家を売却する際は、不動産会社に丸投げせずに、定期的に進捗状況を確認することが重要です。
不動産会社の担当者は多くの場合、複数の案件を同時に扱っており、1つの案件だけに集中できるわけではありません。
実際に、任せきりにしてしまうと、担当者の優先順位が下がり、連絡が滞る可能性があるのも事実です。
また、売買戦略の提案が減ることも考えられ、結果として、納得のいかない条件での売却になってしまう恐れがあります。
そのため、不動産会社に丸投げせずに、担当者とのコミュニケーションを密に保つことが重要です。
実家を処分する流れを把握しよう!
今回は、実家を処分する流れや実家を処分する際の注意点を紹介しました。
実家を処分する流れについては、以下が挙げられます。
遺言書の確認
遺産分割
実家の名義変更
遺品整理
実家の査定依頼
不動産と仲介契約
買主と売買契約
引き渡し
また、実家を処分するための準備を把握しておくことで、スムーズに実家の処分をすることにもつながります。
今回の記事を参考にして、実家を処分する流れを把握しましょう。